鬼才ソダーバーグ監督最新作は
ハリウッドで成功を掴んだ男の“実話”を基にしたサクセスストーリー

アカデミー賞監督スティーヴン・ソダーバーグの最新作は、ハリウッドで成功を掴んだ男の“実話”を基にしたサクセスストーリーだ。本作で主演を務めるチャニング・テイタムが10代の終わりにストリッパーをしていた過去に想を得て、経験者にしか語り得ないメンズ・ストリップの世界とその裏側を活写した本作は、全米で大ヒットを記録。SNLでもイジられるなど、映画ファンを超えて“マジック・マイク旋風”を起こした。本作の大ヒットによりテイタムは、遂に12年People誌が選ぶ“最もセクシーな男性№1”に輝く。これは、今やハリウッドきっての人気俳優となった彼の、秘められし青春サクセスストーリーなのである。

セクシーで、愉快で、クレイジー!
ようこそ 煌びやかなレビュー・ショーの世界へ

まずは煌びやかなショータイムにようこそ!
アクロバティックなダンスを披露しながら服をむしり取るテイタムのマッチョな肉体にゾクゾク!
『アイ・アム・ナンバー4』のピカピカの美青年アレックス・ペティファー、ドラマ「ホワイトカラー」のインテリマッチョなマット・ボマー、ドラマ「トゥルーブラッド」のジョー・マンガニエロなど、いま最も旬の人気イケメン俳優らの、鍛え抜かれた肉体美やパフォーマンスに絶叫、狂気乱舞必至!
加えて元祖マッチョ・イケメン、マシュー・マコノヒーの怪演もお見逃しなく!
ダンサーたちの“素”の生活、舞台裏、その世界に足を踏み入れたきっかけetc.…。知られざる世界に観る者をワクワク誘うと同時に、彼らが未来や人生をどう選び取っていくかを描いた本作は、スリリングでビビッドな青春映画でもある。彼らが現状を打破して夢に向かって突き進もうとする姿は、観る者に青春の甘酸っぱい疼きと共に、吹っ切れた気分と大きな勇気も与えてくれる。

カリスマダンサー、
マイクは何を求めて踊るのか?

自称・青年実業家のマイク(チャニング・テイタム)は、夜になると男たちが華やかなレビュー・ショーを行うクラブ“エクスクイジット”で“マジック・マイク”として女性たちを熱狂させる人気№1のストリップ・ダンサーという顔を持っている。ある日、知り合った19歳の青年アダム(アレックス・ペティファー)に才能を感じたマイクは、クラブに彼を連れていく。アダムはマイクが見抜いた通り、即興で大胆なヴァージン・ステージを飾り、クラブの一員に迎えられる。そしてマイクの手ほどきで人気ダンサーになっていく。大金・女・クールな仲間との付き合いにどっぷり浸かっていくアダムと裏腹に、マイクはアダムの堅実な姉と知り合い、自分が本当に求める人生に気づき始める――。

チャニング・テイタムの実体験を映画化

男性ストリッパーの世界を描いた映画というアイデアを、チャニング・テイタムは長い時間温めていた。その世界の一員だったテイタムは、その世界に映画的な可能性を感じていたのだ。
このアイデアが本作への道を歩み始めたのは、スティーヴン・ソダーバーグとの会話がきっかけだった。本作に主演し製作も務めるテイタムが語る。「18~19歳にかけて8カ月間ストリッパーとして仕事をしていたことがあるんだ。あの生活をずっと物語にしたいと思っていた。そんな話が出ると必ずみんなが知りたがるからね。“どうしてそこに入ったんだい? どのくらい稼げる?”そこでスティーヴンが“絶対にやるべきだよ。僕が監督するよ”と言ってくれたんだ」。ソダーバーグは言う。「最高のアイデアだと思った。セクシーで、愉快で、クレイジーだ。多くの人が経験したことのない環境に入り込めるんだ」。ソダーバーグ監督は物語に2つの視点を与えようと提案した。テイタムの若い視点を代表する“キッド”と呼ばれる19歳のアダムと、30歳の師匠的キャラクター、マイクである。テイタムは言う。「その世界には僕が経験したいエネルギーがあった。人生には、試してみたい時期がある。将来の計画は必要かもしれない。でも今は、次の給料日が、次のパーティが問題だ。ただ楽しい時間を過ごしたいんだ」
 事実は、シンプルな選択だったようだ。18歳の時にテイタムは短期の仕事をやり尽くして、次に何をしようかと考えていた時、ラジオから流れてきた、男性レビューのオーディションを耳に挟んだ。「“いいじゃないか!”と思った。僕は踊れる。だからしばらく楽しんでできる仕事のように思えたんだ」
「2時間ステージに立って150ドル稼いだ。週に600ドル稼げる時もあった。当時の僕には大金だったよ」と彼は続ける。「パフォーマンスはすごく楽しかった。Tバック姿は誇れる経験じゃなかったけどね。ストリッパーは割と純朴な男が多くて、消防士の寸劇だと、すごくウブな消防士になったりする。でも女性たちはそれが大好きで、歓声をあげて、金を下着に挟んでくれる。強烈だった。僕たちは自分のことをロックスターだと思っていたんだ」


新しい世界へ飛び込む2人の男

 「マイクは誠実で才覚のある男だ。成功への鍵は沢山の仕事をもつことだと信じている」とテイタムは表現する。そのために、彼は建設関係や洗車の仕事をし、週末の夜はマジック・マイクとして登場する。だが、彼が最も切望するのはもっと冒険的な事業。「彼は全てがうまくいっていると思っている。でも現実は、たくさんアルバイトをしている、30歳のストリッパーに過ぎないんだ」と脚本のリード・キャロリンは言う。
 今現在、彼にとって最大の成功はマジック・マイクだ。マネージャーのダラスは何年もマイクの人気に頼ってきた。ダラス演じるマコノヒーは言う。「彼は優れたパフォーマーだったし、今でも彼が演目を改善し、バリエーションを考えている。それにマイクは彼の親友だが、同時に金のなる木でもある。誰であろうと、最も金をもたらす人間がダラスにとってのスターなんだ」。テイタム以外では「マシューが最初に配役した俳優だ」とソダーバーグは振り返る。「彼はこのアイデアを気に入ってくれた。僕はただどんなキャラクターかを伝えただけだが、彼は“どうすればいいかはっきり分かるよ。出演する”と言ってくれたんだ」
 ダラスの事をマコノヒーは「口先だけのおだて上手」だと表現する。「彼は自分だけの周波数で動いているんだ」。この男の複雑さを表現するため作り上げたシーンが、ダラスにコミカルな効果をもたらした。彼は、ダンサーたちに地元のジムで一般人に混ざって演目のリハーサルをさせたりする。だが彼は気にもしないし、彼の大きな夢はそんなことでは動じない。彼は、マイクが連れてきたキッドを見て見込みがあると感じる。そしてこの新参者をすぐに舞台の上に押し出す。キャロリンは言う。「ダラスはキッドの怖気づかずに進んでやろうとするところを気にいる」――だが、どの程度までやれるのか?
 イギリス人俳優アレックス・ペティファーが、魅力はあるが無鉄砲な青年、キッドを演じている。「人生の中で大胆な行動をする時期があると思う。キッドもそんな時期なんだ。彼は学校もダメだったし、姉が手配してくれた仕事もうまくいかなかった。そんな時にマイクと会って、このクレイジーな世界に入ることになる。そこは自由で、彼が望むすべてがある。だから彼は猛スピードで走り出すんだ」。キッドは私生活でも師匠の動きを真似しようと、マイクと一緒に過ごすようになる。「マイクにとってキッドは、鏡を見ているような感じなんだ」と製作のニック・ウェクスラーは言う。「キッドは19歳の頃の自分を思い出させる。楽しい時間さえ過ごせればよかった頃の自分をね」。違いは、キッドはマイク以上に進んでリスクを冒すところだった。それは誰にもコントロールできないことを、マイクは誰よりもよく分かっていた。


個性豊かな“タンパのキングたち”

 観客はクラブのど真ん中の最前列という熱気に溢れた席に座って、ステージに登場する“タンパのキングたち”が堪能できる。テイタムとペティファーに加えてスポットライトを浴びるのが、ケン役のマット・ボマー。ケンの演目は、おもちゃ箱から出てくる理想のボーイフレンド、ケン人形だ。ジョー・マンガニエロは、生まれ持った肉体だけを活かすビッグ・ディック・リッチー。ケヴィン・ナッシュは、ロープでステージをサッと横切るワイルドなターザン。そしてアダム・ロドリゲスが、ショーにラテンの香りを振りまくティトを演じている。
 「全員素晴らしい。踊れなくても即興演技ができて愉快な俳優がほしかったんだ」とソダーバーグ監督は言う。テイタム以外は皆ダンス経験がなかったが、スタントかミュージカルの経歴をもっていた。ベテラン・ストリッパーを演じるケヴィン・ナッシュは、20年以上にわたって活躍するプロレスラーだ。だが、そんな彼らであっても、パンツを人前ではぎ取る時がこようとは思ってもいなかっただろう。
 「CSI:マイアミ」の撮影中に本作に参加したロドリゲスが、笑いながら打ち明ける。「脚本を最初に読んだ時は、楽しそうだと思った。次に“しまった。体型が崩れてる。かなり鍛えなくちゃダメだな!”と覚悟したよ!」。ボマーは「この役を引き受けたら、キツい現場になることは分かっていた。でもこれは、一瞬思い留まっても、次の瞬間には飛び込んでいかなくちゃいけないような仕事なんだ」と言う。バスローブとTバックの下着姿で歩き回り、むだ毛処理と日焼けテクニックを話し合えば、みんな平等になる。ソダーバーグ監督は言う。「屈辱感を分かち合うことほど人の絆を深めるものはない。彼らは全員でそれぞれのソロパートを見守り、支え合っていた。競争心もエゴもなかった。150人の女性エキストラとスタッフの前で、演目をこなす彼らは素晴らしかったよ。彼ら全員が思い切って崖から飛び降りたんだ」。それぞれが不安なデビューを終えたあとは、徐々にやりやすくなっていった、とマンガニエロは言う。彼らは実際、次の機会を楽しみにし始めたのだ。「数週間練習した後でも、最初のテイクを撮影する時は緊張した。でもそれが終わると、もう一度ステージに戻りたくなったんだ。スカイダイビングみたいだよ。終わるとすぐにまたやりたくなる。家に帰ってからもずっと興奮状態だった」
 ショーの振付を、ザ・ビート・フリークスのアリソン・フォークが担当した。フォークは、ブリトニー・スピアーズとマドンナのワールド・ツアーの振付を監修する間に、本作のダンスを振付けた。フォークはたくさんのクラブを回って研究し、ダンスだけでなく「観客には何がうけるのか、どんなものが好きなのか」を感じ取った。「これはただのダンス映画じゃないわ。彼らをセクシーに見せ、ファンタジーを作り出す映画なの」と彼女は言う。彼女はそれぞれのキャラクターに合わせたスキットと別に、観客を大喜びさせる「ハレルヤ・ハリケーン~It’s Raining Men」など、いくつかのグループナンバーも準備した。
ペティファーは、最も場馴れしていないダンサーだったが、逆にそれがキャラクターの役作りになったようだ。「最初は恥ずかしくて動きたくなかった。でもアリソンが数ステップだけの素晴らしい演目を考えてくれたんだ。それが、自分が“悪くない”と思い始めるキッドのキャラクター構築に役立ってくれた」。マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」に乗って始まるステージに投げ込まれたシーンは、殆どアドリブだった。「あれは意図的に振付けなかったシーンのひとつだった」とペティファーは言う。「かける曲さえ告げられていなかったんだ! ただステージに行ってやれと言われただけだった。でもパーカーを脱いで、観客の反応を感じ始めたら、“これって最高かもしれない”と思えてきたんだ」
 台本にダラスはパフォーマンスしないと書いてあったにもかかわらず、マシュー・マコノヒーもステージに立った。「何もしないでただ映画に出るわけにはいかないよ。下着姿でステージに一度も上がらなかったら、絶対に後悔しただろう」。映画の後半に登場するダラスのソロは、ストリップショーの真髄を定義するパフォーマンスになっている。


「今君に話しかけているのはマジック・マイクじゃない。」

 キッド同様、マイクはキッドの姉ブルックの中にも何か違うものを感じる。これまで彼が会っていた女性たちとは異なり、ブルックは強くて賢い。マイクに興味をもっているようだが、簡単には落ちない。
 「そういった要素を併せ持っている女優を探していた」と、コディ・ホーンを配役したソダーバーグ監督は言う。「オーディションを見て、彼女だと思った。優しさと強さが混ざり合っている。とても説得力があるんだ」
 ホーンは言う。「最初にマイクは自分のことを起業家だと言いたがるの。だから彼女は彼がどんな仕事をしているのか知りたいと思う。用心しながらね。でも同時に、ブルックはマイクと一緒にいると、自分の明るい面が引き出されるように感じるの。もしその気なら、彼と恋に落ちることができそうなの」。唯一彼女が見過ごせないのが、彼の仕事だった。ソダーバーグは強調する。「仕事だけじゃなく、それに関連するライフスタイルなんだ。それがふたりの直面する障害物となる。それを乗り越えて、信頼関係を築かなくちゃいけない。一緒になれる方法を探すより、一緒になれない理由を探すほうが楽だからね」
 最初は関わりを避けようとするブルックにマイクは苛つくが、そのうち、彼は自分が求めているものは何だろうと思う。「マイクは愛されたい。彼は善良で正直な人間だ」とキャロリンは言う。「でも人はそんなふうに彼を理解してはくれない。彼の人生には、彼がステージで見せているイメージでしか彼を見ない人たちで満ち溢れている」


ショーを彩るアイデア豊かなセット

 観客の幻想を作り上げる手助けをしたのが、衣装のクリストファー・ピーターソンである。「ほとんどの衣装は見つけたものなんだ」と彼は言う。「彼らパフォーマーは既製品を買う。クラブのオーナーたちは特別なナンバーには揃えた衣装を用意するが、ほとんどはパフォーマー自身が工夫したものなんだ。ソダーバーグからはリアル感を大事にと言われてね」。愛国軍をテーマにした演目には、軍の放出物から調達した。だが、彼が妥協しなかった最も重要な衣装が、Tバックの下着だった。特別な生地と色を使い、ピストル・ピートという会社に作らせた特注品である。
 撮影は、2011年9月にカリフォルニア州のプラヤ・デル・レイで始まり、10月にフロリダ州タンパで終了した。マイクとアダムが最初に出会うタンパ湾の壮大な景色など、物語を彩る背景を作り出した。ソダーバーグ監督は「太陽のように感じられるイエローウォッシュの色味を作り出すために、ダブル・ストロー・カメラ・フィルターを採用した。クラブの内観以外は、映画全体にそれを使った。弾けるような色がほしかったんだ」
 カリフォルニアで確保したクラブは、バーとキッチンはあってもステージがなかった。そのため美術のハワード・カミングスは、ステージを自分でデザインし、パフォーマーたちの楽屋にはキッチンを割り当てた。「キッチンを考えた手柄は自分にあると言いたいが、それはスティーヴンのアイデアだった」とカミングスは言う。「完ぺきだった。“タンパのキングたち”は金があまりないし、キッチンの楽屋はその場しのぎの感じを与える。遮断するのは限界があったが、スティーヴンはその限界を利用し、そこからメリットを引き出した」
 多くの意味でそのクラブは、マイクの生活の中心である。だが、近いうちに有効期限が切れるかもしれない。


新しい人生を踏み出す、シンプルな物語

「物語の大半で描いているのは、感情を見誤り、間違った物や人間に投資しているようなライフスタイルだ」とソダーバーグ監督は言う。
「誰もが成功したいと思う」とテイタムはまとめる。「マイクにはアイデアがある。でも彼はチャンスを掴もうとはしてこなかった。自分が知っていることにしがみついているほうが楽だからだ。でもこれからもそうしていたいのか? 結局これは、自分の生き方を見つけようとする人間のシンプルな物語なんだ。そしてほとんどの人たちが見たことのない世界を垣間見る窓でもある。観客には、その雰囲気にどっぷり浸かって、楽しんでもらいたいんだ」